「姿勢を良くすると集中力が持続する」に根拠はない

 

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「姿勢を正すと集中力が持続する」という説を聞いたことはないでしょうか?
試しにGoogleで「姿勢 集中力」と検索すると、

「姿勢をよくすると集中力が持続します」 「集中が続かない原因は姿勢にある」

といった情報がたくさん出てきます。

結論から言いますと、姿勢と集中力の相関関係は科学的に確認されていません。
逆に相関がないという実験結果はありますので、ここではこちらを参考に姿勢と集中力について説明します。

姿勢別で百マス計算をさせ集中力を測定

この実験では、姿勢の違いが物事に取り組む集中にどのような影響を及ぼすかについて調査されています。
実験は小学5年生26名に対し、以下の4つの座位姿勢を3分間保持させた後、その姿勢のまま30秒間の注意集中パフォーマンスを測定するテストを実施。
それぞれの姿勢で同じ課題を実施しその結果を分析しています。

  • 背すじを伸ばした体育座り(画像左上)
  • 背中を丸めた体育座り(画像右上)
  • 背すじを伸ばした体育座り崩れ(画像左下)
  • 背中を丸めた体育座り崩れ(画像右下)

体育座り実験_3
出典:岡嵜淳, & 伊藤政展. (2016). 体育授業で見られる座位姿勢が児童の気分と注意の集中に及ぼす影響.

体育座りが実験で採用されいる理由は、この実験には「姿勢と集中」の他にもう一つ「姿勢と気分」の違いを測定する調査目的があり、学校現場でよく見られる体育座りの姿勢の違いが児童の気分にどう影響するかを調査しています。
「姿勢と気分」の調査については

で詳しく書いています。

注意集中のパフォーマンスの測定には、計算力・集中力を高めるとされ小学校・中学校で広く使用されている百マス計算が用いられています。
実験参加者の児童はいずれも日頃よりこの計算課題に慣れ親しんでいたとのことです。

 

姿勢と集中力に相関関係はなさそう

計算する手_1

この実験の結果ですが、どの姿勢においても百マス計算の総回答数と正答数に有意な差はなく、姿勢の変化は百マス計算からみた注意集中のパフォーマンスに影響を及ぼさないというものとなりました。

とはいえ「姿勢と集中力は全く相関がない」と、この実験結果だけで言い切るには不十分なようです。

研究者曰く、

実験方法のセクションで述べたように、各姿勢条件で施された手続きは、①課題についての説明、②写真による座位姿勢の呈示、③指定された姿勢の 3 分間の保持、④指定された姿勢での TDMS の実施、そして⑤指定された姿勢での 30 秒間の百マス計算の実施、からなっており、拘束時間はかなり長いものであった。したがって最後の百マス計算の局面ではかなりの精神的疲労が生じており、それが原因となって注意の集中が阻害された可能性も考えられる。事実、実験終了後に、「長かった」「疲れた」と漏らす児童も複数人見受けられた。こうした実験手続き上のアーティファクトが、本来あったであろう姿勢の影響を覆い隠してしまったのかもしれない。

とのこと。
つまりこの実験方法だと、集中力を測定する段階で児童にはかなりの疲労があったので、純粋に集中力を測定できていないかもしれない、ということですね。

この点に関しては

で書いたように、集中が必要な時には姿勢への意識の優先順位は低くなる(特に子ども)ことが考えられるので、集中力を測定する環境としては難しそうです。
さらに疲労で注意力が散漫になることも可能性としては高そうですね。

また、この実験は小学生で検証したものなので、大人だとどうか、という点も気にはなります。

ただ、少なくともこの実験では姿勢と集中力に相関関係はなかったという結果が出たのは事実。

 

この通説はほぼ主観

ノートをとる手_1

「姿勢を正すと集中力が持続する」という説がなぜ広まっているのかはわかりません。

冒頭で書いたようにインターネットなど多くの情報において、姿勢と集中力の関係性を説いた通説がさも明らかな事実かのようにそれらしい理由付きで書かれていますが、少なくとも私がざっとチェックした記事の中で、根拠となる情報源を明記しているものはありませんでした。

また、この研究者も論文の中で

姿勢教育の実践報告の中には、背筋の伸展を強調することによって、ポジティブな気分だけでなく児童・生徒の集中力が高まったという教師の評価も見受けられる 。これらの評価は定量化されていない主観的評価であるため、直ちに受け入れることはできないが、姿勢教育の可能性を考える上で極めて興味深い指摘である

と言っています。
つまり「良い姿勢により集中力が高まった」という説は主観によるもので、そういう傾向があると統計的に示されたものはない、あるいは少ないのでしょう。

とすると、「姿勢を正すと集中力が持続する」という説は、おそらくはイメージの誇張や経験則からきた考えだと想像します。
姿勢の良い人が集中しているように見えることは理解できますし、姿勢が良い時に集中していた経験がある人もきっと多いのでしょう。

今回の実験では百マス計算という計算問題で集中力を測定していますが、集中力が必要な場面というのは計算する以外にもたくさんあります。
それぞれの場面において、良い姿勢で集中できてかつ良い結果が出たという経験や他人の経験談において「姿勢と集中力」との関係性を否定できない部分は確かにあります。

ただ、それらはあくまで主観、つまり個人的な意見です。
主観として「集中できている」という状態は大切ではありますが、それが誰にでも、どんな場面にでも当てはめて説明することは現状正しい認識ととは言えません。

このような考えや通説が出てくることは気持ちとしては理解できますが、今後こういった情報を見た時には「そういう説もあるよね」という気持ちで受け取っていただければよろしいかと思います。

念のためですが、姿勢と集中力に根拠はなくても、姿勢と外見上の印象や身体的・精神的な健康の面での影響に関してはたくさんの研究で関係があることがわかってますので、集中力とは別の意味で姿勢を正すことは大切である、ということは最後に確認しておきます。

 

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